お揃いの傘
この間、傘をめぐって不思議な出来事がありました。
その日は雨が降りそうだったので、傘を持って会社に行きました。
結局雨は降らなかったので、必要なかったのですが。
会社の傘置き場は、薄暗い倉庫の中にあります。
この倉庫、電気のスイッチが壊れたままになっているんです。
帰社する頃には外も真っ暗なので、倉庫の中はほとんどシルエットしか見えません。
無事仕事が終わり、倉庫に傘を取りに行きました。
薄暗い傘置き場から、シルエットで自分の傘を探り当て、手に取りました。
そして、帰りのバスに乗ったのです。
バスは満員だったので、つり革につかまって立っていました。
ふと、手に持っていた傘が目に入り、なんとなく違和感を覚えました。
なんだか、傘の色が違うような気がしたのです。
私の傘には、薄いグレーのストライプの模様が入っています。
それが、薄い緑っぽく見えたんです。
その時は、バスの照明の関係かな?と、あまり気にしなかったのですが・・・。
家に帰って改めて傘を見てみたら、柄は同じでしたが、やはり薄い緑色でした。
最初、自分の目がおかしくなったのかと思いましたが、何度見ても同じ。
これは私の傘ではない、という結論に至りました。
翌日会社に行って判明したのですが、それは同僚のSさんの傘でした。
ビニール傘ならわかりますが、柄入りの傘で色違いなんて、すごい偶然です。
しかも、Sさんも私も、どこで買ったのか覚えていない位前に買ったものでした。
とりあえず、取り違えて持って帰ってしまったことをSさんにお詫びし、傘をお返ししました。
Sさんは「置き傘していただけだから大丈夫!」と笑っていましたが、まさかのお揃いの傘にびっくりしていました。
それ以来、取り違えがないように会社には別の傘を持っていくようにしています。